脳卒中のリハビリをする上で、ものすごく重要になってくるのが装具の選定!ですよね。脳卒中ガイドラインでも装具療法はグレードAととても推奨されています。
ですが、現状では理学療法士の個々の裁量に任されているという事が多いと思います。
装具療法はエビデンスレベルが高いのに、その方法や使い方は個人次第、それではせっかく効果が高い治療方法なのに、その最大限の効果を発揮することができません。
今回はそんな脳卒中片麻痺の下肢装具について、選定方法やカットダウン等について解説していきたいと思います。
目次
長下肢装具を作成する
発症早期から長下肢装具を使用して歩行練習を実施することは、エビデンスも高く、有効であると考えられています。
現に、急性期の入院期間が短く、早期に回復期病院へ転院したほうが歩行能力が高かったという文献や、早期の介入に対する有効性については数多くの文献があります。
病院によっては、備品で長下肢装具を何本か用意しているところもあるかとは思います。僕の病院では、全部で5本長下肢装具を用意してあります。
備品で対応してもいいんですが、僕の肌感覚としては、自分用の装具を作成したほうがはるかに歩行練習がしやすいです!
ココがポイント
本人用の装具を作成
やっぱり下肢を採型してオーダーメイドで作る装具は圧倒的に歩行練習が行いやすいです。
どんな長下肢装具を作ればいい?
長下肢装具を作成しよう!となったら、まずどんなものを作ればいいか?と悩むと思います。
結論一番間違いないのは
僕的にはこちらです。
長下肢装具
リングロック
GSとダブルクレンザック
シューインサートか覆い型
設定としてはこれならまぁ間違いないかなと思います。
その理由はまたあとでじっくり説明しますね。
あとは値段との相談も大事です。患者様の経済状況を踏まえた提案をしたいところですよね。
ちなみにリングロックをダイヤルロックに変えるだけでも3万くらい変わりますし、GSがあるかないかでもかなり変わってきます。
ここは個々の患者様の能力や体に合わせた処方をしていく必要があるので、この後しっかりと解説します。
参考文献はいくつかありますが、書籍としてはこれ
さらには
いろんな装具が紹介されているという意味でこちら
も参考にしていますので、よろしければ。まぁこの辺の情報は文献でもとれるので、基礎知識がある方は書籍を買わなくても良いと思います!
膝はリングロックかダイヤルロックか
まずはここからはじめるかなぁと思います。
でもここは比較的簡単です。
ポイントとしては一つ
ポイント
著明な可動域制限があるかないか
まぁ可動域制限が無ければリングロックでもいいかなと思います。
ここでいう可動域制限は膝もそうなんすけど、股関節や足関節も影響します。
著明な拘縮があると、例えば股関節だとしても膝に影響が生じるので、ここは注意してください。ダイヤルロックは膝の角度を細かく決められるので、下肢に拘縮がある場合はダイヤルロックの方が無難だと思います。
また、膝の可動域制限がなく、少しだけ膝周りの収縮や荷重応答がみられてきている、バックニーにならない程度だと、スペックスの適応も考えたりしますが、スペックスは僕、個人的にはあまりうまくいったためしはないです。
今後発売される予定のGSKneeに個人的には期待しています。
足継手はどうする?GSかダブルクレンザックか
足継手については一番悩むところかなぁと思います。
選択肢が色々ありますからね。
でも、脳卒中発症早期で、今後がぜんぜん読めない状況の中で、一番汎用性が高いのは
1番汎用性が高い!
GS+ダブルクレンザック
です。
GSとダブルクレンザックのコンビなら全部の組み合わせが可能です。
ここでいう組み合わせというのは、底屈・背屈の自由度のことです。
継手の機能には、固定、誘導、制動があります。この組み合わせが全て可能なのが、このGSとダブルクレンザックのコンビです。
なので、迷ったらこの2つにしておけば、まぁ間違いないです。
基本的に僕は随意性が低くてもGSをおすすめしています。足関節がまったく動かなくても・・・です。
その理由はこれです。
GSをおすすめする理由
足関節の固有感覚は股関節周囲筋の活動を促す
これです!これめっちゃ大事です!
足関節の固有感覚が股関節にめっちゃ影響あるんです!
だって、そもそも正常歩行って、股関節が動いてるとき、足関節も動いてるじゃないっすか
足首固定して歩いたときの歩きにくさったらないっすよね。
骨折した経験がある方ならわかると思いますが、ちょっと固定されただけでもめちゃくちゃ歩きにくいんすよね。
それが、脳卒中片麻痺の方だとどうでしょう?
かなり歩きにくいのが簡単に予測できますよね。
実際に、歩行練習の場面でも足の動きがあると、効果が全然違います。個人的には、足関節を固定して長下肢装具の歩行練習をやっても意味ないとさえ思っています。
靴型かシューインサートか覆い型か
膝継手、足継手が決まったら、足部の形状を決めます。
ここを考えるにはポイントがいくつがあるので、先にまとめます。
ポイント
予算
カットダウン後にも使用するか否か
カットダウン後、外用or屋内専用にする
カットダウン後、施設用にする
カットダウン後、屋内・屋外併用とする
こんな感じの選び方がスタンダートかと思います。
基本的に、カットダウン後の用途を考えて設定します。
そうするとこんな感じになります。
ポイント
カットダウン後、外用にする⇒靴型
カットダウン後、施設用or屋内専用にする⇒覆い型
カットダウン後、屋内・屋外併用とする⇒シューインサート
こんな感じですね。
もちろん例外はたくさんありますが、基本的にはこんな感じでいいのではないでしょうか?
あとはそれぞれ特徴もあります。
ポイント
靴型=外でもガシガシいける。固定力強い。
覆い型=固定力が強い。
シューインサート=固定力はやや劣るが汎用性が高い。屋内・屋外ともにつ
こんな特徴があります。特徴もふまえて処方するといいと思います!
無料動画で学びたい人向け!おすすめYouTube動画
文章で色々書いてきましたが、動画でさくっと学びたい人向けにおすすめ動画を紹介します。
僕は毎日YouTubeで臨床に役に立つ情報を発信しています。今の時代YouTubeにはたくさんの人がたくさんの情報を発信しています。
僕の動画もおすすめしますが、でも別に僕の動画ではなくても、他にもたくさん良い動画があるので、そちらを見ていただいても良いと思います!
まずはこちら
装具を作る時期を経験則から話しています。
さらにこちら
装具の足継手についての話ですね。
それに加えて、歩行の神経機構を理解していると装具の選定が楽です。
あと、次は僕の動画ではありませんが、すなりはさんの動画ですね!
これもめっちゃ参考になりますし、わかりやすいです!
最後に山本澄子先生の動画
これが無料で見れる時代ってやばい
僕の動画に加えて、すなりはさんと山本澄子先生の動画を紹介しました。
まとめ
長下肢装具は予算、用途、目的に合わせて作成します。
今回は、継手に着目しました。このほかにもたくさんの要素がありますので、また紹介したいとおもいます。